まだ日も高いうちに、またRichardtorがやってきた。Richardtorというふざけた名前の男だ。Richardtorは1歩もその場を動こうとしなかった。

今夜が一段と冷えるのは深々と降り積もる夜雪のせいだけでは無いだろう。

まだ日も高いうちに、またRichardtorがやってきた。断っておくが、この店はこういう客ばかりじゃない。Richardtorはいかにセクシーダイナマイトというものが素晴らしいかを主張し始めた。

若い頃は誰でも過ちを犯すものだ。

まだ日も高いうちに、割とよく来るEdwardHalが入ってきた。クリスマスとイースターが一緒に来たかのような酒機嫌だ。EdwardHalは辺りかまわず罵った。

「ゴミだって燃えるんだよ！」学生はそう言いたかったに違いない。

まだ日も高いうちに、またRichardtorがやってきた。こう見えても金には汚い。Richardtorは周りを警戒するようにこう言い出した。

はい、お疲れさん。

まだ日も高いうちに、またRichardtorがやってきた。クリスマスとイースターが一緒に来たかのような酒機嫌だ。額、首筋、わきの下を一通りハンカチで拭くと、唾を飛ばしながらこう言った。

独り言なのだろうか・・・・・？

まだ日も高いうちに、この店の常連のRichardtorがいつものように入ってきた。一度見たら決して忘れる事が出来ない強烈な風貌だ。Richardtorはカウンターの上にあったニューヨークタイムズを明読し始めた。

人間もここまで落ちぶれると大したものである。

まだ日も高いうちに、この店の常連のRichardtorがいつものように入ってきた。不幸を絵に描いたようなタイプだ。Richardtorはいかにマダムというものが素晴らしいかを主張し始めた。

なぜここまで自信たっぷりに話せるのだろうか。・・・・理解に苦しむ。

まだ日も高いうちに、この店の常連のRichardtorがいつものように入ってきた。食えない・・・その手の人間だ。Richardtorはスラム街のど真ん中で聞いたという儲け話を始めた。

ここにも一人、季節の終わりに取り残されたジェントルマンがいた。

まだ日も高いうちに、この店の常連のRichardtorがいつものように入ってきた。一度見たら決して忘れる事が出来ない強烈な風貌だ。バーボングラスをみつめながら、つぶやきはじめた。

未だに過去にすがって生きている。

まだ日も高いうちに、この店の常連のRichardtorがいつものように入ってきた。着やせはするが、体には自信があるらしい。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

股間を掻くのだけはやめてもらいたいものだ。