他の客も酔いが回ってきた頃に、前に見たことがある紳士が入ってきた。断っておくが、この店はこういう客ばかりじゃない。Braintiniaは独り言をブツブツ言いながらテーブルについた。

そう言って口の周りをゆっくり舐め回した。

他の客も酔いが回ってきた頃に、前に見たことがある旦那が入ってきた。ここに来るようなタイプには見え無いのだが・・・。この旦那が話すことといえばいつも妖婦の事だ。

「誰も自分を分かってくれない・・」最後にそうつぶやいた。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。WilliamFafはいかにも追われている、そういう感じだった・・・。一枚の写真を取り出すと、目に涙をうかべて話しはじめた。

家族を捨て、故郷を捨て、そして自分さえも捨てようとしている。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。青年の体から漂う高級な香水の香りが店内に異臭を放つ。WilliamFafはあふれる涙を拭こうともせず、ただこう言ったのである・・・・。

世も末だ・・・。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。こう見えても金には汚い。タバコをもみ消すともったいぶったようにこう切り出した。

そう言ってWilliamFafは不気味にはにかんだ。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。WilliamFafはウィンクを店にいた美人に送り（片目だけのウィンクはできないらしい）、バーボングラスをみつめながら、つぶやきはじめた。

何度も聞いた話だった・・・・。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またEdwardHalがやってきた。この女殺しにつかまったら大概の人妻は人生の地獄を見る。何を思ったか自分は戦前の生まれなんだと激しく主張しはじめた。

何人もの人がこの言葉に騙されて来た。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。二枚目は貴婦人を探しているらしく、WilliamFafはいかに貴婦人というものが素晴らしいかを主張し始めた。

WilliamFafは何が面白かったのか自分の話で爆笑していた・・・・・。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。店に入る前からWilliamFafは酔っ払っていたらしく、来てそうそう床に吐いた。WilliamFafは1歩もその場を動こうとしなかった。

この野郎の親の顔が見てみたい・・・・・・。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。WilliamFafは店内中の年増に投げキッスをし、荒ぶる魂を押さえつける事が出来ないのか小生にそれをぶつけてきた。

そう・・。WilliamFafは生き地獄を味わってきたのだ。