大分夜も遅くなった頃、前に見たことがある紳士が入ってきた。断っておくが、この店はこういう客ばかりじゃない。美人から教わったというナツメロを歌い出した。歌詞の内容はこうだ。

そう言って小粋なステップでダンスを踊った。

大分夜も遅くなった頃、またWilliamFafがやってきた。この前新聞に載っていた旦那だ。WilliamFafは最近の女性がいかに腹立つかを力説しはじめた。

そういう話は自分の胸に閉まっておいたらどうだ。

大分夜も遅くなった頃、またWilliamFafがやってきた。長生きするとこういう客も珍しくない。WilliamFafはガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

可哀想だが小生は全然話を聞いていなかった。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用している女殺しが入ってきた。この女殺しにつかまったら大概のミスは人生の地獄を見る。この女殺しが話すことといえばいつもミスの事だ。

この台詞に何の意味があるというのか・・・・・・。

大分夜も遅くなった頃、またEdwardHalがやってきた。EdwardHalは数人の愛人をはべらせ上機嫌そうにだ。得意万面で初恋の話をしだした。

そう言いながらEdwardHalは恍惚の表情を浮かべた。

大分夜も遅くなった頃、何回かこの店を利用している色男が入ってきた。インテリを装ってはいるがかなりワルそうだ・・・。差し出した一杯の水を飲み干すとくたびれた声で一つの話をした。

・・・そして無情にも時は流れていった。

大分夜も遅くなった頃、またWilliamFafがやってきた。WilliamFafはウィンクを店にいたレズビアンに送り（片目だけのウィンクはできないらしい）、WilliamFafは何を思ったか一冊の本を取り出し、小生に聞こえるよう朗読し始めたのだ！

終始口元を押さえている。口臭を気にしているようだ。

大分夜も遅くなった頃、またWilliamFafがやってきた。この女殺しにつかまったら大概のミスは人生の地獄を見る。額、首筋、わきの下を一通りハンカチで拭くと、唾を飛ばしながらこう言った。

若い頃は誰でも過ちを犯すものだ。

他の客も酔いが回ってきた頃に、またWilliamFafがやってきた。WilliamFafが入ってくるなり店内が静まりかえった。小生のむなぐらをつかむと今にもあばれそうな勢いでこう言った。

「ゴミだって燃えるんだよ！」優男はそう言いたかったに違いない。

他の客も酔いが回ってきた頃に、前に見たことがある旦那が入ってきた。この前新聞に載っていた旦那だ。一枚の写真を取り出すと、目に涙をうかべて話しはじめた。

多分自分でも何を言っているのか分からないのだろう。